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【AI創作ラノベ】運命のノート 第11~15話

前回の続きです。

もくじ

第11話「小川奈々の家に泊まる」

 昨夜は藤崎彩花の家に泊まり、ノートの力の影響がどこまで及ぶのかを確かめた。

 結果、彼女やその家族にとって俺が泊まるのは「いつものこと」になっていた。

 そして今日──俺は次のターゲットとして小川奈々を選ぶことにした。

 「今晩、小川奈々が家に泊めてくれる」

 ノートにそう書き込み、放課後を迎えた。

「悠真、今日はうち来るんでしょ?」

 放課後、奈々が当たり前のように声をかけてきた。

「ああ、よろしくな」

「はーい! じゃ、適当に買い物してから帰ろっか♪」

 俺は彼女に誘われるまま、近くのコンビニに寄った。

「何か食べたいものある?」

「適当にカップ麺とか……」

「は? ダメでしょ、ちゃんとしたご飯作るから」

 意外なことに、奈々はきちんと料理をするつもりらしい。

「お前、料理できるのか?」

「まぁね? 悠真が来るなら、ちゃんと作んなきゃな~って♪」

(……うん、これは完全にノートの影響だな)

 奈々にとって俺が泊まりに来るのは「普通」のこと。だから、もてなすことも自然な行動としてインプットされている。

(この感覚、面白いな)

 俺はそのまま、奈々と一緒に買い物を済ませ、彼女の家へ向かった。

小川奈々の家

 奈々の家は、マンションの一室。

「おじゃまします」

「はーい、適当に座ってて~」

 部屋の中は、女子らしいオシャレな雰囲気。

 ベッドの上にはクッションやぬいぐるみが並び、化粧品やアクセサリーがきれいに整理されている。

「ほら、悠真、手洗ってきなよ」

「ああ」

 俺は洗面所で手を洗いながら、ふと考える。

(彩花の家とはまた違うな)

 彩花の家は清潔感があって整った雰囲気だったが、奈々の部屋はより女子っぽい「プライベート空間」という感じがする。

 そして、何より──

(この状況、普通に考えたらヤバいよな)

 高校生の男女が、完全に当たり前のように同じ家で夜を過ごす。

 でも、奈々にとっては「いつものこと」でしかない。

 ノートの影響の強さを改めて実感しながら、俺はリビングに戻った。


晩ごはん

「できたよー!」

 奈々が作ったのは、意外にもちゃんとした家庭料理だった。

「ハンバーグとか作れるんだな」

「えへへ~、悠真に食べてもらいたくて♪」

 (……うん、これは完全にノートの影響)

 もはや俺に尽くすのが当然になっているらしく、奈々は俺のために喜々として料理を作っていた。

「ほら、あーん♡」

「お前もそれやるのかよ」

「だって、悠真に食べてもらいたいんだもん♪」

 昨日の彩花と同じく、奈々もごく自然に「あーん」してくる。

 ──ここまで来ると、もう笑えてくるな。

(なんか、どんどん世界が変わっていく……)

 俺は奈々の手料理を堪能しながら、今後のことを考え始めた。


就寝前の会話

 食事の後、奈々の部屋でゴロゴロしていると、彼女がふとこんなことを言った。

「ねえ、悠真」

「ん?」

「私ね、小さい頃から一つだけ夢があったんだ」

「夢?」

「うん。……自分の思い通りの世界を作れたら、楽しいだろうなって。

 俺は思わずノートを意識する。

(……まるで俺の今の状況みたいな話だな)

「例えば?」

「んー……世界中の人が、みんなハッピーに暮らせる世界!」

「お前、意外と真面目なこと考えてるんだな」

「えっ、そう?」

 奈々は少し照れたように笑う。

「まあ、それができたら最高だけど、そんなの無理だしね」

(無理じゃない。俺なら、できる)

 だが、それを言うつもりはなかった。

 今のところ、俺はこのノートの力を自分のために使っている。

 もし「世界を変える」となると、それはまた違う次元の話になる。

(俺は……この力を、どう使うべきなんだろうな)

 そんなことを考えながら、奈々の部屋で夜が更けていくのだった──。

第12話「休日の実験開始」

 土曜日の朝。

 学校は休みだが、俺は今日一日を「ノートのさらなる実験」に充てることにした。

(平日は学校の環境を変えることが多かったけど、休みの日にどこまで影響が及ぶか試してみたいな)

 まずは、シンプルな確認から始めよう。

 「休日の朝、俺と会った女子は挨拶としてキスをするのが当たり前」

 すでに平日の学校では成立していたルールだが、学校以外の環境でどこまで機能するのか?

 俺はノートにその一文を書き、まずは目の前にいる奈々の反応を確かめる。


「おはよ、悠真♡」

 起き抜けの奈々が、自然に俺のほっぺにチュッとキスをした。

 昨日までは「学校のルール」として定着していたが、やはり休日でも問題なく発動するらしい。

「お、おう……」

 俺が少し戸惑っていると、奈々は首をかしげた。

「ん? どうかした?」

「いや、なんでもない」

 (なるほど。環境に関係なく、俺に対する「キスの挨拶」は完全に固定されたっぽいな)

 となれば、さらに試してみる価値がある。


次なる実験:外での影響範囲

 朝食を食べたあと、俺は奈々と一緒に外へ出ることにした。

 まずは近くのコンビニへ。

 もしもこのノートの影響が「俺のクラス」や「知り合い」に限定されていたなら、ここでの反応は変わるはずだ。

 俺はコンビニの自動ドアをくぐり、中に入った。

「いらっしゃいませ~」

 レジに立っていたのは、制服姿の女子大生くらいの店員だった。

 ──そして、俺と目が合った瞬間。

「おはようございます♡」

 店員は、当たり前のように俺の頬にキスをした。

(……おお)

 周りの客も特に驚く様子はなく、まるで「何の変哲もない日常」として流れている。

 つまり──

(このノートの影響は、俺の生活圏内にいる女性すべてに適用されるってことか)

 これは、想像以上の結果だ。

(なら、もっと広範囲に影響を与えたらどうなる……?)

 俺はさらなる実験を試みるべく、次の願いを考え始めた──。

第13話「取り消しと主観の実験」

 ノートの力を使って、さまざまな世界改変を行ってきた。

 だが、ふと気になったことがある。

(ノートに書いた内容は「取り消す」ことができるのか?)

 もし取り消せないのだとしたら、一度書いたことは不可逆になってしまう。

 それを試すべく、まずは「キスの挨拶」を一時的に取り消す実験をしてみる。


実験①:「取り消し」は有効か?

 俺はノートに、新たな一文を書き加えた。

 「俺と会った女子は挨拶としてキスをするのが当たり前」──このルールを無効にする」

 これで、今までのルールが消えるはずだ。

 試しに、すぐ隣にいる奈々に話しかけてみる。

「なあ、奈々」

「んー?」

 ──何も起きない。

(……おお、これは成功か?)

 俺はさりげなく、近くを歩いていた女子にも声をかけてみたが、誰も俺にキスをしようとしない。

 つまり、ノートに書いた内容は「取り消し」が可能であり、修正も効くということだ。

(これは、かなり大きな発見だな)

 取り返しのつかない状況を生む心配が減るし、都合の悪いことがあれば簡単に書き換えられるということでもある。


実験②:「俺の主観」が入っていても適用されるのか?

 次の実験は、俺の「主観」を条件にした願いが叶うかどうか。

 つまり、「俺が可愛い、または綺麗と思う子」に限定してルールを適用できるかというものだ。

 俺はノートに書き込んだ。

 「俺が可愛い、または綺麗と思う子は、俺と会ったときにキスの挨拶をするのが当たり前」

 さて、これがどう作用するか……?


 最初の検証対象は、隣の小川奈々

「おはよっ、悠真♡」

 ──ほっぺにチュッ

(よし、奈々にはちゃんと適用されてるな)

 続いて、コンビニの店員。

 さっきまで俺にキスしていた彼女が、再びレジに立っている。

 ……しかし、今回は特に何も起こらなかった。

(あれ?)

 しばらく様子を見ていたが、彼女はこちらを見ても、普通に接客を続けるだけだった。

(なるほど……これはつまり、俺が「可愛い」「綺麗」と思った子にのみ適用されるってことか)

 俺の「主観的な判断」がトリガーとなって、適用されるかどうかが変わる。

(これは使いようによってはかなり便利だな……!)

 必要な相手にだけ影響を与えられるってことだから、範囲をコントロールできるわけだ。

 こうして、俺のノートの力の研究は、さらに深まっていった──。

第14話「偶然の出会い、必然の展開」

 俺はノートに新たな願いを書き込んだ。

 「藤崎玲奈が偶然通りかかり、彼女が持っていたコーヒーを自分にこぼしてしまう。玲奈の家が近いため、家で洗濯させてほしいと提案される」

 もちろん、俺は玲奈を「可愛い」と認識している。

 つまり、彼女と会った瞬間、キスの挨拶が発動する。

(……さて、どうなるか)


偶然の出会い(実際は必然)

 俺は駅前のカフェの近くを歩いていた。

 その時──

「あっ、ごめんなさいっ!」

 俺の視界がコーヒー色に染まる。

(おお、さっそく来たか)

 前を見ると、サングラスとマスクで変装しているが、明らかにオーラが違う女性が立っていた。

 ……そして、俺の目の前にいるのは──

売り出し中のアイドル・藤崎玲奈。

「す、すみません! 服、大丈夫ですか!?」

 彼女が慌ててハンカチを取り出そうとしたその瞬間──

「……え?」

 俺の顔をじっと見つめた玲奈の表情が、不思議なものに変わる。

 そして次の瞬間──

彼女は、何の迷いもなく俺の頬にキスをした。

「……っ!?」

 玲奈は自分がした行動に驚いている。

(ふふ、やはり発動したな)

 俺は内心で確信しながら、初対面のアイドルにキスされるという奇跡的な展開を自然に受け入れる。

「え、えっと……今、私……?」

 玲奈は戸惑っているが、ノートの効果で「当たり前」と感じるようになっているため、すぐに自分を納得させる。

「……あ、あの! 服が汚れちゃいましたよね!? すぐ洗濯しないと!」

「まぁ、確かに」

 俺がコーヒーで染まった服を見せると、玲奈は焦りながら提案してきた。

「わ、私の家、すぐそこなんです! だから、良かったら……その、うちで洗濯していってください!」

(完璧だ……)

 ノートの通り、玲奈の方から俺を家に誘う展開になった。

「それじゃあ、お言葉に甘えようかな」

 こうして俺は、売り出し中のアイドル・藤崎玲奈の家へと向かうことになった──。


玲奈の部屋へ

「ど、どうぞ……」

 玲奈の家は、スタジオの近くにあるマンションの一室だった。

 室内は意外にもシンプルで、清潔感のある白基調の部屋だった。

「えっと、服……脱いでもらっていいですか?」

(おお? いきなりそうくるか)

 玲奈はすぐに洗濯機を回そうと、俺の服を手に取ろうとしている。

 まあ、ノートの効果だし当然の流れだな。

「ありがとな。助かるよ」

 俺は素直に服を渡し、玲奈の部屋で少しリラックスすることにした。

 ──まさか、テレビで見たばかりのアイドルとこんな展開になるとはな。

(さて、この状況……どう活かすか)

 ノートを開く手が、自然と動き出すのだった──。

第15話「アイドルの部屋着を着ることになるとは」

「えっと……これ、私の服で申し訳ないんですが……」

 玲奈が手渡してきたのは、ふわふわのもこもこした部屋着

 完全に女の子向けの可愛いデザインで、袖やフードにはちょっとしたフリルまでついている。

(いや、さすがにこれは……)

 思わず絶句してしまったが、玲奈は困ったように笑う。

「その……男物の服、ないので……」

 まあ、そりゃそうだ。売り出し中のアイドルが、見知らぬ男を泊める前提で男物の服を用意してる方がヤバい。

 俺は自分の服が洗濯中なのを思い出し、渋々と頷いた。

「……まあ、しょうがないか」

 正直、これを着るのはかなり抵抗がある。

 でも、アイドルの私生活で使っている部屋着を着るなんて、普通じゃありえない体験だ。

(非日常感って意味では、悪くないか……?)

 俺は観念し、玲奈の部屋着に袖を通した。


着た結果──

「……」

「……」

 部屋には気まずい沈黙が流れる。

 鏡に映った自分を見て、俺は改めて思った。

(……これはヤバい)

 どう見ても、俺に似合うとは思えない。

 ただの違和感しかない。

「……ぷっ」

 そんな俺の様子を見て、玲奈が耐えきれずに吹き出した。

「ご、ごめんなさい! いや、似合わないとかじゃなくて、その……なんか、新鮮で……!」

 いや、似合わないだろ、絶対。

 玲奈は笑いながらも、「うんうん」と納得したように頷く。

「でも、なんか……悠真さん、普段クールっぽいのに、こういうの着ると可愛いですね」

「可愛いって言うな」

 玲奈はケラケラと笑いながら、「似合ってますよ」とフォローを入れるが、完全に笑いを堪えている。

(まあ、笑顔が見れただけでも良しとするか)

 アイドルの私生活を垣間見ているようで、不思議な気分だった。

(さて、この状況……どう活かすか)

 俺はノートを手に取りながら、さらなる実験を考え始めた。

続く…

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